漢字『饗』の成立ち、由来、意味、使い方、饗と宴と卿、関連熟語について
人々が集まって話をするときに、そこに食べることや飲んだりすることが介在する。これは極めて人間的な行為ではないだろうか。サルやオラウータンですらも宴会を楽しんだということを聞いたことがない。どうしてこの違いが生まれたのだろう?
導入
「漢字『饗』の意味、使い方、語源、饗と宴はどう違うの?」
漢字の意味と成り立ち: 「饗」という漢字の基本的な意味、
象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など。
使い方と例文: 現代日本語での使用例、典型的な文脈での使い方、例文。
関連熟語: 「饗応」、「饗宴」、「饗賜」、「饗報」、「饗礼」など、関連する熟語とその意味を解説。
文化的・歴史的背景: 漢字の歴史的な背景や文化的な意味について
前書き
目次
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漢字「饗」の今
「饗」は、食べ物に関する部分である「食」と、「郷」(さと、村)という部分から成り立っている。両者の組み合わせで、村や郷里で食事を提供する、もてなすという意味が浮かび上がる。 一方「宴」は、宀(ベン・屋根や家)と宵(よい、夜の意)と女(女性)の組み合わせから成り立っており、夜に家で女性とともにくつろぐ様子を表現しており、後に「宴会」や「パーティー」の意味として発展した。 |
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饗・楷書 | 宴・楷書 |
甲骨文字から古代文字へ
饗・甲骨文字 |
饗・金文2款 |
饗・小篆 |
漢字「饗」の読みと意味そして熟語
- 音読み キョウ
- 訓読み あえ、う(ける)、もてな(す)
意味
- もてなす
豪華な料理(必要な程度を超えたお金や食材を使った料理) - 勧(すす)める。供える。また、供え物。
- もてなしを受けいれる。もてなしに応じる
- 祭る、祀る、神を祭る
同じ部首を持つ漢字 饗、郷、響
漢字「饗」を持つ熟語 饗
饗応:もてなし
饗宴:もてなしの宴会
饗賜:もてなしを戴く事
饗報:もてなしをして恩顧に報いること
饗礼:御馳走をして賓客をもてなすこと
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漢字「饗」の漢字の由来
象形文字としての成り立ち、古代中国での使用例など。
参考書紹介:「落合淳氏の『漢字の成立ち図解』」
漢字の暗号の解釈
「饗」、会意文字。
「飨」は会意文字。甲骨文の「飨」の字には、中央に食器(すなわち高足皿)おいしい食べ物を盛り付けた容器があり、左右に二人の男が向かい合って膝をついて座って食べていることを示す。
金文と甲骨文の形は似ているが、金文は人の形が立っているようだ。小篆の「人」の形が比較的大きく変化し、人の形を表す形が「邑」の2文字に変わっている。全体の下部に「食」という表意文字が加わり、上声(绑)、下の形(食べ物)の形声文字となった。
楷書の繁体字は基本的に「饗」と書くが、字画が複雑すぎたため、後に「飨」という字に簡体化された。
「飨」という言葉の本来の意味は「ちょっとしたおやつ」で、午後4時か5時に男たちがが仕事から帰って集団で食べる食事のことをさしていた。
その後、料理とワインで客人をもてなすことを意味するように拡張された。
漢字「饗」の字統の解釈
形声 声符は郷(郷)。鄕は豆(毀、食器)の前 に、左右相対して人の坐する形で、饗宴のさまをあらわし、饗の初文。饗はさらに食を加えたもので、 郷の繁文である。郷は郷人の意ではなく、郷飲酒の礼も金文にはみえず、古儀とはしがたい。
郷が郷党の意となるのは、血縁的な秩序が失われて、地縁的秩序が成立したのちであるから、かなり後のことである。
祭祀饗宴を神が享けることを饗といい、また神意によって人に佑助が与えられることを饗という。
漢字「饗」の漢字源の解釈
「卿」はごちそうの両側に人が膝まづいて向かい合った様を示す会意文字で、饗の原字。
「饗」の成立ち
郷が郷党の意となるのは、血縁的な秩序が失われて、地縁的秩序が成立したのちであるから、かなり後のことである。
成立ち:
- 「饗」は、食べ物に関する部分である「食」と、「郷」(さと、村)という部分から成り立っています。
- 「食」はそのまま食べ物を示し、「郷」は郷里や地元を示すことができます。
- 組み合わせると、村や郷里で食事を提供する、もてなすという意味が浮かび上がります。
- 「饗」は、食事を提供してもてなすことを特に指します。
- 「饗応」(きょうおう)や「饗宴」(きょうえん)のように、特に食事でもてなす場合に使われることが多いです。
成立ち
漢字「宴」について詳しくは、本ブログの 「漢字『宴』の起源と由来」で説明しているので、できればご参照願いたい。
成立ち:
- 「宴」は、宀(屋根や家)と宵(よい、夜の意)と女(女性)の組み合わせから成り立っています。
- 宀(ベン)は家や建物を示し、宵は夕方や夜を示しています。
- 女はそのまま女性を指しています。
- つまり、夜に家で女性とともにくつろぐ様子を表現しており、後に「宴会」や「パーティー」の意味として発展しました。
- 「宴」は、家や特定の場所で行われる宴会やパーティー、集まりを指します。
- 広く人が集まって楽しむ場の意味で使われます。
漢字「卿」の成立ち
郷と卿とは同形同字で、その饗宴に与る(あずかる)身分のものを卿という。
まとめ
漢字 饗と宴は同じような意味を持っている。そして饗には甲骨文字が存在し、片や宴には甲骨文字 は存在せず、金文の後から発展してきたようである。
そして饗は自然発生的な過程で文字の生成されたように見受けられ、仕事終わった後や村々の寄り合いの時に食事を共にすることが生き生きと表現されているようだ。
そして饗が接待の意味合いを持つようになるのは、少し遅れてからのようであり、初期には純粋に食事を楽しむことを表現する文字であったようだ。
一方宴の方は 女性とともに くつろぎながら食事をする形式を表現しているようで 文字の中にも「女」という字が使われている。形式的にも屋内でいわゆる今日も通用する 宴会そのままの形であったようだ。言葉を変えていえば、この時代には男性中心の社会に移行した後の言葉であることは動かせない事実のようだ。
このように文字の発展が社会の発展をそのまま 反映しているようで 極めて興味深い。
常々主張しているように 漢字は世界のあり方や生産方式などを映し出している鏡とでも言えるのではないだろうか。 漢字の世界は実によく深く興味がつきないものである。
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