2012年2月26日日曜日

方位の漢字「東」の起源

  日本では東という字は「木」に太陽が掛って日の出を表しているように見えることから、方位の東を言うといわれている。これは俗説かも知れないが、いかにももっともらしい。しかし木に太陽でなぜ東なのかもう一つしっくりこない。日の出を言うなら元旦の「旦」の方がはるかにすっきりする。
 

では唐漢氏は何と言っているのか。 東の青銅器の銘文中には右のように書かれている。彼はこれは皮の袋を示したものという。
 「東」これは一つの会意文字である。甲骨文字と金文の東は本来古代人が常用していた袋を指している。

 上古の時代は人は物を運ぶ時、まず地上に一枚の獣の皮を広げ、中に一本の木の棒を置き、獣の皮の上に物を置き、獣の皮を木の棒に巻きつけるように括るり両端は皮の紐か藤のつるで結える適当な大きさの袋になる。肩の上に担ぐのに都合がいい。外で野営する時、獣の皮は床に敷くのに実用的である。甲骨文字の「東」はこの種の袋の描写である。 




 古代人は太陽が昇った時に起床し、すぐに体の下に敷いてあった皮をまいて、肩にかけ、木の実を集めたり狩りに出かけたりした。この為「東」は太陽の昇ってくる方向を示す。これは即ち東が一つの象形造字であるということである。表意文字の仮借である。 「東」は「東方」ともいう。

 これは一種の仮借である。即ち本来袋のことを指して言っていた「東」は東方の東になった。 この解釈であれば、「木に朝日が掛る」などというある種の無理なこじつけをしなくてもいいし、よりしっくりした解釈になる。


「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。