気ままな散歩

2022年1月29日土曜日

漢字 哲の成り立ちと由来は「神梯+斧+心」からなり、神から授かった斧で明快に分解し明確にする意を持つ


漢字 哲の成り立ちと由来
 古代は、「斤」の字で斧の象形文字です。下部は元々は心の象形文字です。つまり宗教的にあ意味合いが濃く、神梯遠野で、混乱した状況を明快に切り離し、人々に告げるということを表現しました。

 哲は「口+音符・折」で、言動が明快に立ち切れることをいう。ここで、折はずばり断ち切ることをいう。


漢字「哲」の楷書で、形声文字です。
 声符は折。上部の初形は、神梯の形と斤に従っている。
 説文では「智なり」としています
即・楷書


  
哲・甲骨文字
右の上部は「斤」の字で斧の象形文字です。下部は心の象形文字です。
哲・金文
甲骨文字をそのまま踏襲している
哲・小篆
下部の心が「口」に変化し、字形全体は記号化され、シンプルになっている。


    


「哲」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   テツ

意味
     
  • さとい(理解・判断が的確で早い、鋭い、深い・・決断が速い
  •  
  • 並外れた知恵を持った人や深く洞察できる人を表現しています。
  •  
  • 知恵のある人を表示する。 

漢字「哲」を持つ熟語    哲学、哲理、明哲




引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 哲の字は会意兼形声文字です。金文の哲の字の左上は梯子の象形のデッサンです。右の上部は「斤」の字で斧の象形文字です。下部は心の象形文字です。三形の会意で、斧で梯子を作り、困難な環境から逃れ出ようとする心を持つ人を表示しています。並外れた知恵を持った人や陰謀を企てる人を表現しています。
小篆には2款ありそのうち1款は金文を受け継ぎ、梯子と斧を合併し、折と改め、それは決定を下すことを意味します。  別の一款は下部は心の形は改めて口となり、口と折るの発声とから形声文字になっている。

「哲」は説文では「知なり」と解釈している。現代では、段玉裁は哲を解釈して「哲、智なりとする。方言曰く哲なり。一般知識。  



漢字「哲」の漢字源の解釈
 会意兼形声:折はずばり断ち切ること。哲は「口+音符・折」で、言動が明快に立ち切れること


まとめ
 古代人も物事を考えることが、、口ではなく、心で考えるものだと認識していたことが、この字から明白である。




漢字「〇」を含む故事、成語、ことわざ ☜ については、こちらが詳しいです

「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

2022年1月27日木曜日

漢字「高」の誕生異聞:高台に建つ高楼か、はたまた佇立する男性のシンボルか


漢字・高は如何に生まれたか? その成り立ちと由来を考える
 漢字「高」は一般的には高台に建つ建物だという説が大勢を占める。確かに象形文字と考えると、確かに高台に建つ高楼と考えるのが常識的だと思われる。しかし、その一方で、セックスシンボルだという考えも古今東西根強く存在する。

 佇立するものを見て、それを男性のシンボルだろうと直感的に思い浮かぶのはごく自然の成り行きだとは思うが、しかしだからといって文字化をする段階にまでそのように考えるのかは別の話だと思う。
 一般的に文字化する段階でセックス・シンボルが話題に上り、文字化しなければならない局面というのは、高台に建つ高楼に比べはるかに少ないと思う、その理由は文字化という一般的な作業の過程では、公共性、汎用性が強く要求されるからで、セックスシンボルがそれほど強い社会的な認識に上っていたとは考えにくのではなかろうか。


漢字「高」の楷書で、常用漢字です。

 唐漢氏はこの高という字について大胆な説を提唱されている。
 それによれば、「高」は会意文字である。甲骨文の「高」の字と「享、吉、舎」の字は相似形である。同じ生活習慣から出ていて、皆男性の生殖器の直感的描写である。甲骨文中には四款の「高」の字がある。基本構造系は、字形の中には舍の字があり、男性の性器が勃起した様子である。下の「内」の字は勃起した時の二つの脚を示している。
 しかし氏の説によると、高い、低いという基本的な概念が出来上がる前に、男性の勃起という認識が先行していたことになり、にわかに信じがたいものである。

 私は唐漢氏の説で、大切なのは、彼がこの漢字のの創生で、中華民族の属性に触れていることである。それは、
「華夏先民はもともと生殖を功績あるものと見た人本主義的な民族でした。これは、食、色を本能本姓と捉え常々誇らしく考える民族でした。」という下りである。

高・楷書


  
高・甲骨文字
高・金文
台地の上に立てた楼閣という象形
高・小篆
字としてより洗練されている。


    


「高」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   コウ
  • 訓読み   たか

意味
     
  • 高い   値段、音程、
  •  
  • 尊ぶ、敬う、偉そうにする(お高くとまっている)
  •  
  • 気品がある 

同じ部首を持つ漢字     
  •  稿 嵩

  • 漢字「高」を持つ熟語    高楼、高等、高慢、高貴、高速、高揚


    引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
    唐漢氏の解釈
     「高」は会意文字である。甲骨文の「高」の字と「享、吉、舎」の字は相似形である。同じ生活習慣から出ていて、皆男性の生殖器の直感的描写である。甲骨文中には四款の「高」の字がある。基本構造系は、字形の中には舍の字があり、男性の性器が勃起した様子である。下の「内」の字は勃起した時の二つの脚を示している。「口」は女性の生殖器である。

     これが本当に古代の祖先が考えたことなのか、疑問が残る。当時の人の考えにしてはできすぎのような気がする。もっと直観敵で直接的ではないだろうか。しかし、本当のところは誰にも分らない。

      ここで唐漢氏は非常に重大な歴史観を示された。
    華夏先民はもともと生殖を功績あるものと見た人本主義的な民族でした。これは、食、色を本能本姓と捉え常々誇らしく考える民族でした。


     氏によれば、華夏先民はもともと生殖を功績あるものと見た人本主義的な民族であったが、儒学が起こった時、人々が性について語ることがはばからるようになった時、会意の本義が失われました。
     つまり、漢族の祖先である華夏民族は生殖を本源的なものと見た人本主義的な民族だった。それが後になって儒学が起こり、性をありのままに捉えないで、性について話をするのが憚られるようになって以降というもの、以前の人本主義的な民族の特性からの乖離が起こり、現在の民族性を喪失するようになったというものです。だからこそ、甲骨文字は中華の古代の先民の属性を残しているはずというのが氏の基本的な考えの様です。



    漢字「引」の漢字源の解釈
     象形:台地に立てた高い建物を画いたもの。


    漢字「高」の字統の解釈
     京の省文と口に従う。亰は凱旋門。戦場の遺棄死体を収めてこれを塗り込んだアーチ状の門。口はサイ、祝禱を収める器の形。そこで祝禱を行うことをいう。
     上部は望楼、楼観の形で享や亭の形と同じくその門闕のところにおいて、祝禱を加え津。門は内外を分かつところであるから、そこで悪邪を祓う候禳の儀礼が行われた。


    まとめ
     会意文字であるようだが、甲骨文字にせよ、金文にせよ、まるで象形文字であるかのように生き生きとした人等に関しての説明は民俗学的にはさもありなんという感じがしないでもないが、しかし、本当に古代の先民が彼の言うような認識に至っていたであろうか。字統や、漢字源の解釈が素直で、よりうなずけるものを持っているとおもわれてしかたがないのだが・・。



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    2022年1月23日日曜日

    古代の「育」の成立ちと由来:子供の出生

    漢字・育の成りたち:母親が子供を産み落とす様子そのまま。漢字・育を逆さまにして見れば良くわかる。
     現代は「育」という字は、育てるという意味がまず頭にくるが、古代の字からの実推察するとまずは生むことが先決であったようだ。確かに古代は人間の寿命というのは恐ろしく短った。したがって、まずは生むことは何よりも優先されたのであろう。、


     漢字の面白さを再認識させられるような「目から鱗」の漢字にぶつかった。


     古代の「育」と「毓」の由来と起源:
    分娩の様子がそのまま字になった。古代人の発想はなんともすごい!
     難しく考えないで、字を単純にひっくり返してみると歴然としている。これぞ「180度の発想の転換」だ




    描写のリアルな点はなんともすごい
    現在では氏名、地名にしか使われない 

     さて、その漢字は今ではほとんど使われないが、古代中国では「育」の異体字として使われていた「毓」という字である。これは中国よみではYu(4)と読むが日本語の音読みでは「イク」である。この甲骨文字たるや自分にとってはある種の衝撃を受けたといってもいいような文字である。
     というのは感覚的に言えば、あまりに露骨、そのまんま。本当に古代人はこのような受け止め方をしていたのだろうか?





    漢字・育の字の変遷:
    甲骨文字_育育の上辺の甲骨文字「子」育の上辺の文字「子」の反転漢字「育」変遷後
    現代ではこの文字が原義を代表している




    漢字・「毓」の字:
     「毓」は「育」の字の異体字となっている。甲骨文字、金文の「毓」(訓:いく、音:ユウ)の字は皆一人の婦人が今まさに出産している状況を描写している。  女の人の下には下を向いた子供の形があり、今まさに嬰児が母体から分娩して来ている様子である。逆さの子供の下の方の小さな点は、分娩時の羊水の流出を表している。
    小篆は金文を受け継ぎ字形構造はほぼ同じであるが、図形の持ち味は消失して、「毎」と「寛」の会意字になっている。ここで何で「寛」なのかは理解できない。は母の髪飾りを指していたことから拡張され年配の女性、盛んなることを表す。

     「毓」の本義は生育である。また出産をも表している。又毓と育は両形とも異型同義語である。此方の字「育」は、子供視点に立っているとも云えないだろうか。

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    2022年1月15日土曜日

    漢字・成の成り立ちと由来は:戦勝を誓って飾りをつけた武器である戈であることからまとめ上げるの意味を持つ


    漢字・成の成立ち:戈と丁からなる
    漢字・成の成り立ちと起源:古代の武器で、戦いに際してお祓いや祈願を込めて飾りをつけた戈
     古代中国の「秦」の宰相であった、李斯が《谏逐客书》の中で、『秦成帝业』(秦は帝業をなす・・・秦国は統治の大業を完成させたの意味)といったのが「成」の最も典型的な使い方であったのかも知れない。
     
    漢字「成」の楷書で、常用漢字です。
     成立ち:武器であった「戈」と「丁」からなり、丁で打ち据えて、治める、まとめて統一するという意味です
    • なる    完成する  
      成り立つ、ある状態に達する
    • なす、   成し遂げる  成就する
    • 平らげる  平定する、征服する
    • などの意味があります  
     
    成・楷書




    漢字「成」を含む成語、ことわざ
    1. 既成事実:社会的に広く行われていたり、広く存在している事柄
        用法: 既成事実化している

    2. 画虎不成:後漢の将軍馬援が子馬厳、馬敦の子供たち兄弟に宛てた手紙の中で、二人が遊侠に走ることに対して、「虎を画いて成らず帰って犬に似てしまうような、素質のないものが優れた人のまねをして軽薄に振舞うようなことがあってはならない。」と戒めた。

    3. 既成概念:社会的に広く認知されている考え

    4. 故事成語

    5. 心願成就:心の中で神仏に念じたり、自分に強く誓った願いが叶うこと
      自分が強く願わなければ叶わないという戒め

    6. 大願成就:大きな願いが成し遂げられたこと

    7. 大器晩成:大きな器は完成するまでに時間がかかることから、大人物となる者は、世に出て大成するのが遅いという意味。大人物でもない人間が、自分はいつか世に出ると自分を慰撫する言葉
      出所:先秦·李耳《老子》:“大器晚成,大音希声。”

    8. 成円熟:経験豊富で、物事によく通じ、人格穏やかで、円熟味を持った人を指す

    9. 墨守成規:頑なに規則を固守すること、戦国時代墨子が城を守り通したことの故事があるが、墨子は守る戦術は実に柔軟で、それは現在のゲリラ戦術にも通じる

    10. 即身成仏:生きたまま究極の悟りを開き、仏になることを「即身成仏」という。日本では密教に多く見られ、ミイラ化した高僧が祀られている寺が多く存在する。最も有名なのは、鉄門海上人です

    11. 朝成暮毀:物事を頻繁に作ったり壊したりすること。朝令暮改にも通じる

     

      
    成・甲骨文字
    武器の戈に神聖なる飾りをつけた神聖なる武器を表す
    成・金文
    文字として形がより整備され、洗練されている
    成・小篆
    丁は打って一つにまとめる意味を有する
    文字自体が進化したのでは?
    金文の時代には「まとめる」という意味は持っていなかった


        


    「成」の漢字データ
     

    漢字の読み
    • 音読み   セイ、ソン、ジョウ
    • 訓読み   な(る)な(り)

    意味
    • なる    完成する  
      成り立つ、ある状態に達する
      実る  例:成熟する、実がなる
    • なす、   成し遂げる  成就する
    • 平らげる  平定する、征服する
    • 将棋で、①敵陣に入った場合、②敵陣内で動いた場合、③敵陣から外に出た場合に「成る」ことにより、駒がバージョンアップする
      玉と金は成ることはできません。
      残る小駒の銀、桂、香、歩は成ると、金と同じ動きになります。
      角と飛車は駒本来の動きに合わせ、王将を同じ動きをすることができます
    •  

    同じ部首を持つ漢字     成、城、盛、幾、誠、鉞





    引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
    唐漢氏の解釈
     成の字の本義はまさかりです。甲骨文字の右の上部は長柄の斧である。

    金文中の「成」の字の中で、右辺の曲がった大鉈が更に形が変化し、武器であることが協調されている。

     小篆の変化は比較的大きく、上辺の斧の形が変化して鉞となって、下部の長い縦線が変化し一個の丁の字(下に叩き切ってしかる後持ち上げることを表示している。)即ち漢字は小篆の時代に丁という意味が加わったことで、変化したのではなかろうか

    楷書では書くときに丁の字は横に湾曲して現在の「成」の字となった。

     






    漢字「成」の漢字源の解釈
     会意兼形声:丁は打って一つにまとめる意味を有し、「打つ」の原字。「成」は戈+丁でまとめ上げる意を含む


    漢字「成」の字統の解釈
     戈と丨(コン)とに従う。戈の下に記すものは丨(コン)、列国期のものには、これを戈身にかけた形に作るものがあり、その製作が終わった時に、そのスイ飾を加えて祓ったもので、それで初めて成就の意味のとなる。


    まとめ
     会意文字であるようだが、甲骨文字にせよ、金文にせよ、まるで象形文字であるかのように生き生きとした人々の姿が描写されている。文字の形に簡略化し、無駄を省いたデッサンとなっており、実に素晴らしい記号化、抽象化がなされていると思う。



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    2022年1月11日火曜日

    漢字・兔の成り立ち:兎と免はよく似ているが由来は全く異なる。兎角、兔の甲骨文字はウサギの側面のデッサンを表す象形文字です


    漢字・兎の成り立ち:象形文字であり、兎の横から見た姿そのもの、古代人の表現力には感心する
    漢字・兎の成り立ち:兎と免はよく似ているが由来は全く異なる。甲骨文字はウサギの象形文字です。一方免は兜を脱ぐことを示しています。兎に角、甲骨文字の兔は大きな頭と長い耳、短い尾と上向きに湾曲した小動物です。

     「兎角」という言葉は、殷紂の時の逸話で、「大亀に毛を生じ、兎に角を生じる。これ甲兵まさに興らんとすの兆しなり」とあり、世にあるまじきことの起こるをいうことから発生した言葉です。「兎に角」という発想が面白いですね


    漢字「兎」の楷書で、常用漢字です。
     右側は「兎」で、ウサギを側面の素描した象形文字です。後ろにある点は、尻尾を表しています。
    兎・楷書


      
    兔・甲骨文字
    兔・古文
    甲骨文字を一貫して引き継いでいる
    ・小篆
    甲骨文字、金文を承継するものだが、単純化と抽象化のため兎の原型は失われている。


        


    「兔」の漢字データ
     

    漢字の読み
    • 音読み   ト
    • 訓読み   うさぎ

    意味
    • うさぎ

    同じ部首を持つ漢字     兎、兔、冤
    漢字「兔」を持つ熟語    脱兎、兎角、菟




    引用:「汉字密码」(P91、唐汉著,学林出版社)
    唐漢氏の解釈
     「兔死狗烹」(兔が死ねば猟犬でも煮て食えれる、猟犬の役目は終わったので、処分できるの意)の「兔」です。これは象形文字です」

     甲骨文字の兔は大きな頭と長い耳、短い尾と上向きに湾曲した小動物です。
     側面から見た図は簡単明快です。十分走り跳ぶうさぎのさまを表しています。古文から小篆までの「ウサギ」は、段階的な変換により、直感的に兔の原型を見ることはできなくなったが、変更の一連の流れは極めて明らかです。
     


    漢字「兎」を含む成語、ことわざ
    • 兔死狐悲・・・同類相憐れむ
    • 兔死狗烹・・・兔が死ねば猟犬でも煮て食えれる (猟が終われば犬は役割を終え食べられる運命にある)
    • 狡兔三窟・・・すばしこい兔は多くの隠れ穴を持つ。あらかじめ逃げ道を用意しておき、巧に身の安全を図る。
       災害防止の心得みたいな言葉です
    • 待兔守株・・・「待ちぼうけ」の歌そのもの
    • 犬兔之争・・・意味のない争いの比喩
    • 兔角牛翼・・・兔には角はなく、牛には翼は生えない。条理に合わないことのたとえ
    • 东兔西乌・・・古代神話の中でいうには、月明かりの中に玉兔がおり、太陽の中に三本足の金鳥がいる。したがって鳥と兔で月日を代表させ、月が東にのぼり、日が西に沈む。時が不断に流れることを示す。
    • 兔子死了 ・・・兔が死ぬと狐や狸は悲しむ。同類や仲間の失敗や死を悲しむことの比喩
       『兔死狐悲』と同じ意味
    • 脱兔之势・・・非常に迅速に形勢が変化すること。迅速な行動の比喩
    • 全狮搏兔・・・ 小さな目標のため、大きな力で攻撃することの比喩
    • 见兔放鹰・・・ 野兎を見て即座に鷹を放つこと。行動に移るときは時期にあっているべきという比喩

    • この他、四文字熟語は多数あります。これも漢字文化の豊かさなのでしょうかね

    漢字「字統 P636」の字統の解釈
     象形:兎の形 説文に「うさぎの踞して、その尾を後ろにする形に象る。」兎の字には後ろに一点あり、免にはその一点がないことについて、同字異字が論あるが免は兜を脱ぐ形で声義とも異なる。

     兎角とは殷紂の時の逸話で、「大亀に毛を生じ、兎に角を生じる。これ甲兵まさに興らんとすの兆しなり」とあり、世にあるまじきことの起こるをいう。


    まとめ
     甲骨文字にせよ、金文にせよ、生き生きとした人々の浮かび上がってくるようです。実に素晴らしいデッサンで、芸術的ともいえるようなデッサンが素晴らしい。文字の形に簡略化し、実に素晴らしい記号化、抽象化がなされていると思う。



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    2022年1月6日木曜日

    漢字「盧」:主に名前に使われ「盧溝橋」がもっとも有名


    漢字・盧が世界に広く知らしめるようになったには、盧溝橋という橋の名前からで、直接的・間接的に日本が係わっている
     盧溝橋は金代の明昌3年(1192年)に完成し、その後度々修復が施されている。全長266.5m、11幅のアーチからなり、各アーチは長さ11m、扁平率0.69の楕円形。橋の欄干には、それぞれが異なる表情や姿をした計501基の獅子の彫像が置かれている。(ウィキペディア)
     
    マルコポーロの「東方見聞録」
     第3話 大ハーン(フビライハンのこと)はマルコポーロを西部の地方への使者として派遣した。ハンバリク(元の時代の大都、現在の北京)をたって16 km 行くと大きな川に着く。 ブリサンギン【盧溝】(現在の永定河)といい、大河に注いでいるので、商品を携えた商人が海から上ってくる、極めて美しい石橋がかかっている。長さ270M、十頭の馬が並んで通れるくらいだから、幅は7m 以上はあるだろう。 24のアーチと橋脚があるが、美しい大理石で堅固に作られている。両側に大理石製の手すりと柱があり、その根元に大理石製のライオンがある。柱の頂上にもライオンがおかれ、いずれも立派な彫刻だ。手すりは灰色の大理石である。(「東方見聞録」、現代教養文庫)

    盧溝橋事件
     そして直接的にこの盧溝橋の橋が世界に大きく知られるようになったのは、1937年7月7日に引き起こされた盧溝橋事件である。この事件を皮切りに日本は中国との全面戦争の泥沼に嵌まり込んでいくことになった。

    漢字「盧」の楷書で、常用漢字です。
     「卢」は盧の簡体字です。甲骨文は上下の構造が結びついた会意文字です。下部は炉身と炉足の火の炉のデッサンです。上部は虎の字の簡略形で、炉口が大きく張った様を表示している。事実炉の字は上古時代の精錬や製陶の高炉のことです。金文と甲骨文字の炉の字は似ていて、筆流れは滑らかに、形はさらに美観を呈している。小篆の炉の字の下部には「皿」が加えられ、中間炉の形は田に変って、盛んに蒸気が上がっており、生活からくる変化が加えられている。小篆のこの変化は盧の道具の変化であり、包括的な火盆からくるものだ。
    盧・楷書


      
    盧・甲骨文字
    上古時代の精錬や製陶の高炉のこと
    盧・金文
    甲骨文字を引き継いでいる。筆流れは滑らかに、形はさらに美観を呈している
    盧・小篆
    「皿」が加えられ、中間炉の形は田に変って、盛んに蒸気が上がっており、生活からくる変化が加えられている。


        


    「盧」の漢字データ
     

    漢字の読み
    • 音読み   ロ
    • 訓読み   クロ

    意味
       
    • 飯器
    •  
    • 高炉
    •  
    •  

    同じ部首を持つ漢字     爐、鱸(スズキ)、蘆(アシ)
    漢字「盧」を持つ熟語    




    引用:「汉字密码」(P773、唐汉著,学林出版社)
    唐漢氏の解釈
     「卢」は炉の初文です。焼き窯、銅の精錬用の高炉からきている。
     後期には、一般的に、暖房、調理、製錬に使用されるさまざまな形態のストーブを含む、火器を指します。《后汉书•五行志》に『魏郡男子张博 , 送铁卢诸太官。』とあるがその中の鉄の炉とは即ち製鉄炉を指す。
     後の時代には盧に旁の火を加え爐として、簡単化の過程で" 卢 "ではなく、户 "とした。現在では姓名に用いられるが、古代は大概冶金用の窯である



    漢字「盧」の漢字源の解釈
     形声:皿+音符で、丸い壷の形をした飯器のこと。キョロなどという。中が黒いことから黒いという意味もある


    漢字「盧」の字統の解釈
     説文では「飯器なり」とある。柳をもってこれを作るとされているが、その器は炒爐だとされている。




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    2022年1月1日土曜日

    漢字「虎」は実に威風堂々としている。荒々しいが、気品もある。古代人の表現力には舌を巻く


     来年の干支は寅年である。このような生物による紀年法が定着したのは、後漢になってからといわれているが、ウィキペディアによると「十二支と十二獣がいつから結びつけられたのかは不明であるが、1975年に湖北省雲夢睡虎地の秦代の墓から出土した竹簡には既に現在のように動物が配当されている様子が伺われる。

      後漢の王充が著した『論衡』物勢篇では、十二支を動物名で説明しており、これによって干支の本来の意味が失われ、様々な俗信を生んだ。ただし、日、月、時刻、方位などを干支で示す慣習が廃れた今日でもなお、干支紀年に限っては今なお民間で広く定着している要因ともなっている。日本の風習である年賀状などにも動物の絵柄が好んで描かれているが、下表のとおり、配当される動物には国によって違いが見られる。

     いずれにせよ、十二獣と干支との間には何の科学的根拠もないと考えられている。

     唐漢氏はこの寅を人間の出生の一過程を表現するとみなす説に立っている。
    寅が十二支に占める位置は第3位である。これも会意文字である。
     甲骨文字の寅の字は繁簡両方の型式を持っている。その一は上部の矢の形に同じ符号である。これは臍の緒が繋がっている方向を示している。下部の符号「文(父)」は即ち母親の産門を示したものだ。そして中間の口は産門の内外を示したものである。三つの形の会意で、胎児が出産後、胎盤からまだ出ずに,臍帯がつながった状態を示している。

      虎は寅ではない。干支の寅歳に虎をあてたものだが、当てられた虎もハタッと困ったことであろう。「百獣の王」は獅子というが、私から言わせれば、百獣の王は紛れもなく虎だと思う。獅子と虎が同じ環境に住めば、間違いなく虎が君臨すると思う。


    それ故、古代から虎は畏敬の念を以て人々に敬われ、恐れられてきた。
     虎を含む成語には数限りない。

    漢字「虎」を含む成語、ことわざ
    • 不入虎穴,焉得虎子虎穴(虎穴に入らずんば、虎児を得ず):
      もっとも有名な成語。班超が西域で匈奴に囲まれ窮地に陥った時危機を脱出した時に入った言葉
      危険を避けていただけでは、成功は望めない
    • 虎視眈眈 :じっくりと機会を狙っている状態
    • 苛政猛虎:悪政は暴れる虎よりも恐ろしいことをいう
    • 暴虎馮河:血気にはやって、無謀な行動を起こすこと。孔子が弟子の振舞いに危惧の念を抱き、戒めた言葉
    • 狐仮虎威:権力のある者の威勢を借り、威張り散らすこと『戦国策』より
    • 画虎类狗: 虎を画きてならず、反りて狗に類す。『後漢書・馬援伝』素質のないものが優れた人のまねをして軽薄にふるまうことを戒めた 
    • 虎尾春冰:虎の尾を踏むことや春先に雪解けの時に凍った氷上を歩くこと。非常に危険な振る舞いであることの譬え
    • 騎虎之勢:隋の皇帝楊堅の皇后独孤が夫が隋という国を建てようとしたときに、
       夫を励ました言葉。虎に乗ったものは、途中で降りて虎に食われてしまうので、途中でやめるわけにはいかないという意味
    • 官虎吏狼:官は虎の如く、吏は狼のごとし。官吏が暴虐を貪ることの比喩
    • 虎頭蛇尾:最初は勢いがいいが尻すぼみになること。類語に『竜頭蛇尾』がある。
    • 虎渓三笑:あることに熱中して、他のことを忘れてしまうことの譬え
    漢字「虎」の楷書で、常用漢字です。
     虎と言う古文字は実に芸術的だ。どれもこれも虎の荒々しさを余すところなく、生き生きと表現していいる。
    寅・楷書


      
    虎・甲骨文字
    虎の全形そのもの
    虎・金文
    荒々しい虎の状態を表している漢字
    虎・小篆
    図形・象形から文字としての符号化の過程を示す


        


    「虎」の漢字データ
     

    漢字の読み
    • 音読み   コ
    • 訓読み   とら


    同じ部首を持つ漢字     虎、虚、虜、號、膚
    漢字「〇」を持つ熟語    虎杖、虎魚、虎巻、




    引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
    唐漢氏の解釈
     虎は」象形文字である。甲骨文字の虎の字は、上を向いて大きく口を開け体には美しい斑紋を持ち、尾と足まで全体が猛虎の形象を示している。字の全体は猛虎が立った側面の図である。
     実際上古の人々はこのように画を刻み、漢字の横に細く縦に長い漢字の構造に合わせた特徴を持っている。
     金文の虎の字は多く省略されてはいるが虎の形象を留めている。
     均整の取れた美観を志向し、すでに甲骨文と金文の特徴は失っているが、図形から符号に発展する過程に反映した文字になっている。

     虎は説文では「山獣の君。」とし、これは老虎を百獣の王と見立てている。食肉の猛獣として、林中の覇の称号と一致する。上古時代は東北と河南では皆常にみられる動物である。したがって成語を含め多くの言葉が虎を含んでいる。「虎口余生,虎视眈眈,狐假虎威,不入虎穴、焉得虎子,虎毒不食子」など等




    漢字「虎」の漢字源の解釈
     象形:虎の全形を描いたもの


    漢字「虎」の字統の解釈
     象形文字: 卜文は虎文をつけた象形字に作る。
     説文に『山獣の君なり』とあり虎足は人の足に象るとするが、その脚尾の形に過ぎない。
     金文の図象に虎形を用いるものもあるのは古くトラの飼養に関与した部族がいたのであろう。


    まとめ
     会意文字であるようだが、甲骨文字にせよ、金文にせよ、まるで象形文字であるかのように生き生きとした人々の姿が描写されている。文字の形に簡略化し、無駄を省いたデッサンとなっており、実に素晴らしい記号化、抽象化がなされていると思う。



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