気ままな散歩

2020年9月4日金曜日

漢字「舟」、船、艇、艦はどう違うの?


漢字「舟」、船、艇、艦の違いはどこにある?
 「舟」は木を刳りぬいた原始的だが、基本的な舟、船は沿岸を走るから大きな舟、艇はまっすぐ進む小さな舟、艦は船の上に版屋を設けて、矢を防ぐ形をした軍船をいう。近代の特殊な使い方で、タンカーは油轮という。

 漢字「舟」に関係する漢字を拾ってみました。これで全てかどうかは分かりませんが、全部で110個がカウントできました。
 そのうちごく一部ですが、舟が旁や偏で明示的に構成要素となっているものを要素に分解し、下記に一例として挙げてみました。

舟、航(こう 舟+亢で形声文字)、
盤(深いお盆のような器・・白川氏は刳り舟と盤は同形であるから盤形は舟で示されるとしている)
般(舟+殳(しゅ)からなる、白川氏は舟は盤の象形で、殳は盤中のものを汲み取る形という。合わせて運ぶの意味があるという)
舳(へさき:舟+由から構成され、由は壷の先端から油などを抽出する様をいい、抽出されたように船首が突き出ているのでへさきという)、
船(大型の舟をいう)、舵(かじ 舟+它で会意兼形声、它は横に伸びる意味を持ち、横に引っ張る船の舵をいう)、
舶(大きな船のことを言う・・日本書紀に出てくる)、
艇(会意兼形声、廷はまっすぐという意味を持つ。併せてまっすぐに直進する細い小船)、
艙(そう:船倉のことを言う)、
艘(そう:会意兼形声、舟+叟で、叟は細長いという意味を持つ、舟を数える数詞)、
艦(会意兼形声、舟+監(上から見下ろすという意味を持つ)戦いの船、
艫(とも:会意兼形声、舟+盧で、盧はつぼ型の窪みのことを言う)
油轮:タンカーのこと・・タンカーは船なのになぜか油の輪と書く 

これ以外で「舟」を構成要素の中に持っているが、明示的でない漢字
俞:これは会意字です、受、朕(ちん)



引用:「汉字密码」(P115、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「舟」という 字は、 字型の観点から見ると、甲骨の木の筏の形状に似ているものから、今日見られる小さな小舟に発展しています。

 最も発達したものは平底、方頭、方尾で、上頭と尾がわずか跳ね上がり、舟の両端にはデッキと突き出た角があります。これは比較的先進的な木造船で、その形は木を削いで一木舟としたもののようです。

 金文の「舟」は甲骨に似ており、小篆はすでに変化し始めており、楷書は隷書に変遷后「舟」と書きます。


字統の解釈
盤(舟の別名とも考えられる)
 字統:船 舟の形に象る。説文に 舟なり として 昔木をくりぬいて舟となし 木を削りて櫂としなし 以って通ぜざるを渡すと起源説話をくわえている。 左のような大きな容器に物を入れ運搬し、物をやり取りしていたとも考えられる。その結果として、このような盤を舟と称していたという説もある。








結び
 舟にかかわる漢字を集めてみたが、甲骨文字など古くさかのぼると、これらの文字が直感的に理解できることが良く分かりますね。
 漢字の持つ素晴らしさが改めて理解できた。




「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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