漢字・際: 地の果てを意味する金輪際の「際」は何を意味するか。深堀してみた
毎日ことば 24.01.24では「金輪際」が取りあげられている。
ここでは、「際」の深堀りをする。
毎日ことば 第907回
「絶対に」という意味の「金輪際」。
YOASOBIの大ヒット曲「アイドル」の 歌詞にも出てきますが、もとは仏教語です。
大地を底で支える世界が金輪で、その底が 金輪際。この「際」は大地の果ての意味があり、「とことん」の意味になりました。
導入
前書き
目次
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漢字「際」の今
漢字「際」の解体新書
漢字「際」の楷書で、常用漢字である。 字統では際は ここが神人相接する際会のところ、人の至りうる極限のところであるという。 | |
際・楷書 |
「際」の漢字データ
- 音読み サイ
- 訓読み きわ
意味
- 辺縁
- 限り(限界)、極み、極限
- 交わる、出会い、交際
同じ部首を持つ漢字 祭、擦、蔡(小さな雑草)、瘵(病む;特に肺結核のこと)
漢字「際」を持つ熟語 際、国際、交際、際限、往生際
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漢字「際」成立ちと由来
参考書紹介:「落合淳氏の『漢字の成立ち図解』」
漢字「際」の字統(P341)の解釈
会意文字: 阜と祭とに従う。
阜 は捗降するときの神梯。その前に祭卓をおき、肉を供えて祭る。
そこは神と人との相接す るところであり、天と人とが相感応するいわゆる天 人の際である。
〔説文〕一四上に「壁の會なり」とし、 祭声の字とするが、それでは際限・際会などの義は生れない。際は ここが神人相接する際会のところ、人の至りうる極 限のところであることを示す。仏教では、地下百六十万由旬(由旬は仏教でいう距離の単位、約三百八十四里)の金剛輪の下底を、金輪際という。大地の底の果てるところの意である。
漢字「際」の漢字源の解釈
「阜+音符(祭)」で、壁と壁がこすりあうように、すれすれに接することを表す。察、擦などは同系。
まとめ
「際」の字素である「阜」にも「祭」にも甲骨文字が存在するにもかかわらず、「際」には甲骨文字が存在しない。これが事実とすれば、際という概念は後世になって生まれたと考えられる。 「際」という言葉は、金輪際のように仏教用語であるようだが、仏教が中国に伝播して以降、生まれたとも考えられる。 只この神が降臨するという概念は、神道的な雰囲気を持っており、中国でこの概念が存在していたのか今のところは門外漢の私には分からない。
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