古代人の死生観・・人は二度死ぬ!
人の死するや、まずその屍は草間に棄てられた。これが、漢字「葬」である。風化を待つためである。まずは自然に帰る。漢字「死」意味するところ、生死のの死ではなく、屍を意味していた。
風化して後は、殯葬という形式がとられ、正式にあの世に旅立つのである。
導入
前書き
目次
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漢字「死」の今
漢字「死」の解体新書
漢字「死」の楷書で、常用漢字です。 人の死するや、まずその屍は草間に棄てられた。これが、漢字「葬」である。風化を待つためである。 のち殯葬 という形式がとられ、板屋などに隔離し、安置した。 そして風化した骨をとって葬るので、いわゆる複葬 の形式をとる。ト文の生死の字は囚に作り、棺中に人のある形。 | ||
死・楷書 |
死・甲骨文字 |
死・金文 |
死・小篆 |
「死」の漢字データ
- 音読み シ
- 訓読み しぬ、ころす
意味
- 人間・動物などが、呼吸したり、動いたりできない状態になる
- 自分で呼吸したり、動いたりできない状態にする。
- そのもの本来の力や働きが果たされなかったり、うまく利用されなかったりする状態にある
- そのものがもっている活気(勢い)や価値がなくなる
同じ部首を持つ漢字 死、葬、蔞、螻、
漢字「死」を持つ熟語 死、妓楼、蔞、螻、
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漢字「死」成立ちと由来
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)唐漢氏の解釈
甲骨文の「死」の文字は右側に「歹」の文字があり、上は水平、もう一方は力強く、顔を上にして真っすぐに横たわっている状態を示し、下は二本になっています。
中央のものは足が縛られていることを示す斜めになっています。 足を縛られていると動けなくなり、歩くことも動くこともできない人が死んだ人になります。
漢字「死」の字統の解釈
歺 と人とに従う。 歺は人の残骨の象。 「人」 はその残骨を拝する人の形であるらしく、死を弔う意である。
死の声義について、人の死するや、まずその屍は草間に棄てられた。漢字「葬」は葬は死 (屍) の草間にある形。風化を待つためである。
のち殯葬 という形式がとられ、板屋などに隔離し、安置した。 そして風化した骨をとって葬るので、いわゆる複葬 の形式をとる。ト文の生死の字は囚に作り、棺中に人のある形。いまの死字の形は、歺の前に人の跪く形で、明らかに複葬の形式を示している。
それで死はもと生死の字でなく、屍を意味する字であった。
漢字「死」の漢字源の解釈
会意文字: 死は「歺(骨の断片)+人」で人が死んで骨切れに分解することをあらわす。
甲骨密码
【死,薨】的甲骨文金文篆文字形演变含义 死・甲骨文字=(跪く人)+(口・叫び)+( 歺・死体)、造語の原義:命が終わると、他人が泣きその遺体を悼む。 甲骨には「口」を省略したものもあります。 青銅碑文と篆刻は甲骨碑文を引き継いでいます。 ここで篆書の「人」は転倒した形をとっています
(「甲骨密码」を参照)
まとめ
白川氏は漢字「死」を「歺 と人とに従う。 歺は人の残骨の象。 「人」 はその残骨を拝する人の形であるらしく、死を弔う意である。」と解釈している。この解釈が正しいとすると漢字「死」は死そのものではなく、残骨や遺体を配することを「死」と解釈していたことになる。
「死」の甲骨文字にはいくつかの字体が存在していて、漢字「死」の変遷の史観の項に掲げた。これ等の字体がすべて正しく表現されている保証はないが、一応参考のために掲げた。
これらを概観してみるといずれも囲いの中に入っていることと、人が反転して書かれていること(漢字「化」の旁の部分)などもある。
これらのことから考えてみるに、古代人は人間の死を抽象的には捉えることができないで、「人が死んだあと骸骨や死体が風化した後を見て『ああ、死んだのだ』と認識していたのではないだろうか。従って、白川氏の「字統」の記述にも、「副葬」という記述がみられるのは、こうした事情によるものではないだろうか。
「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。
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