漢字「北」はかくして生まれた
「従うべきか、背くべきか、比べるべきか、それでもだめなら死ぬべきか?」 ハムレットそのものではないか?
導入
人は自分の立ち位置は、一人でいるときは、分からないものですが、二人になるとおのずと明確になるものです。
人間関係を見事に表現した漢字「従・北・比・化」ほ人間のありようの七変化
これほど人間関係を見事に表現したものはほかに見当たりません。
この漢字が出来て、三千年も経った後の、遠く離れたヨーロッパでの、ハムレットの叫び!
前書き
少し古い話ですが、2017年の漢字は「北」が 1 位だったようです。
その心は「北朝鮮」というところだろうか。そのほか、この年には九州「北」部の記録的豪雨、大谷選手の大リーグ移籍や清宮選手の入団など「北」海道日本ハムファイターズに注目が集まったことなどが理由となったようです。
漢字「北」の意味は、二人が相背くということと方角の「北」という二つの意味を持っているといわれています。 この漢字の由来を探ってみよう。
目次
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漢字「北」の今
漢字「北」の解体新書
問題は古代ではこの二つの意味のどちらが先に使われたのかということである。
実際の生活上では「北」という方角を知ることが非常に重要なことであることは容易に想像できる。
また人々が集落を作って、集団で生活をするようになると、人の立ち位置が非常に重要になってくる。
ある概念が重要視されるか否かは、その社会の成熟度、文明の発達度によって変わってくる。
「北」の漢字データ
「説文」に「背くなり。2人相背くに従う。」とあり、背中の初文。 この解釈は、甲骨文字が発見されたのちも一貫しており、金文、小篆のいずれも文字の解釈としては「背を向けあう」人の形とされているのが通説である。 | |||
北・甲骨文字 |
北・金文 |
北・小篆 |
- 音読み ホク
- 訓読み きた
意味
- 方角の北
- 敗北する
- そむく、背を向ける
同じ部首を持つ漢字 背、乖、燕
漢字「北」を持つ熟語 北側、北面、北上、北極、
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漢字「北」成立ちと由来
甲骨文字は、人が背を向け合っている様が見て取れる。これは反目している状態の会意文字であるというのが通説であるようだ。この説明からは北という字が「背」に使われているなどには確かに説得力がある。白川静氏の「字統」の中の説明でも、二人相背く形とあり、「説文」の「二人相背くに従ふ」とあり、「背」の最初の文字だと説明している。この解釈が、一般的である。唐漢氏の解釈(P335)
これに対し、わが唐漢さんの解釈は、甲骨文字の形は一人の人間と影である。正午自分どこに向いていても、影の頭はすべて北向いている。北方の冬の時期は人影は一般に長く地上に映え非常に顕著である。このため古人は地上の影が向いている方を北とした。
漢字「北」の字統(P803)の解釈
二人相背く形。「説文」に「背くなり。2人相背くに従う。」とあり、背中の初文。卜文・金文に北方の意に用い、また地名にも用いており、古くその音があった。相背く意より敗北、敗走の意となる。
漢字「北」の漢字源の解釈
会意文字: 左右の両人が背を向けてそむいた様を示すもので、背を向けてそむくの意味
漢字「北」の変遷の史観
文字学上の解釈
まとめ
甲骨文字は、王が卜辞により、広く自分の意を示すために作られたと言う。しかし、いくら亀の甲に記号を刻んだといえ、それを理解する人々が相当するいなければならない。甲骨文字のように体系だった文字が突如として現れるはずはなく、その前段階、前々段階が長くあったはずである。
その意味でこのページで述べるように、言素たる「人」の記号を、いろいろに組み合わせて新しい概念を作り出した思考過程を跡付けることができて非常に興味深い
从、従、比、北、化はたった一字で全て人間と人間の関係を表現したもの。 ☜ 注意:このページは以前にアップした記事を加筆修正したものでです
「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。
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