気ままな散歩

2021年6月25日金曜日

漢字 「尊」の成り立ちに埋もれた歴史的真実:尊という漢字は男性崇拝そのものだった。漢字は男子優位の思想で貫かれた世界にある


漢字 尊の成り立ちから何が読める。神霊に酒を捧げることは、男性崇拝の表れなのか
 「男」という部首を含む漢字は、わずかに17文字しかありません。それに対して、「女」という部首を含む漢字はなんと992にも上ります。なぜでしょう?考えられるのは、漢字が作る側にいたのは男だったからだと思います。既に男優位の中にあって漢字が作られ、女は観察対象であったと考えられます。

 漢字の世界即ち、漢字が作られ使われた文化は基本的に男尊女卑の世界であったということが出来ます。

 そのことを踏まえて、改めて漢字 尊の成り立ちに迫ってみました。尊という漢字は男性崇拝そのものだったと考えられます。後にきれいごとの屁理屈が付けられたようですが、最も本源的な意味は「男は尊い」ということに尽きる気がします。


漢字「尊」の楷書で、常用漢字です。
 この漢字は、ある種の侵すべからざる雰囲気のある字として、漢字の中で、特別な位置を占めてきた。

 この漢字は、男性のみに用いられ、女性の立ち居振る舞いや雰囲気には用いられてこなかった。

 なぜだろう?それは、この漢字そのものが男根を表し、男性崇拝を担ってきたからだと考えられる。
尊・楷書


  
尊・甲骨文字
男根をあがめ奉る様。《酒を恭しく相手に献上する姿とも解釈される
尊・金文
基本的に、甲骨文字を引き継いでいる
尊・小篆
文字としての体裁が整うと共に
露骨な表現は影を潜め建前的な表現が、文字としての汎用性を高めるようになった。


    


「〇」の漢字データ
 

漢字の読み
  • 音読み   ソン
  • 訓読み   とうと(い)、とうと(ぶ)、たっと(い)、たっと(ぶ)

意味
     
  •  尊敬すること  (例・・尊敬する  大切にする、重んずる (例・・尊重)
  •  
  •  えらそうにして、他人を見下げたような態度をとる (例・・尊大)
  •  
  •  尊称として他人に関する事物の上につけて敬意を表す」 (例・・尊顔)
  •  
  •  日本固有の使い方、みこと(神や天皇家の人に対する敬称 (例・・日本武尊

同じ部首を持つ漢字   遵、蹲、鳟
漢字「〇」を持つ熟語    楼閣、尊敬、尊重、尊顔




引用:「汉字密码」(P683、唐汉著,学林出版社)
唐漢氏の解釈
 「尊」は会意文字です。甲骨文音「尊」は下部は両手であり、上部は酒器です。両者の会意で、丁寧に人にうまい酒を献上する意です。金文と甲骨文は形はよく似ている。ただ、酒器の上部に模様が追加されている。

 小篆の「尊」は酒器の上に二個の払いが加えられており、外に傾けて、人に飲ませる意味を示している。楷書の「尊」の字は金文と小篆の中の二つの手が一つの手(寸)に変り、隷書化の後、「尊」となった。「尊」の字の本義は二つあり、一つは酒を敬うこと、もう一つは酒器そのものを指す。

 しかし、唐漢氏の「漢字「酉」の起源と由来」の説明の中では、この尊の中に含まれる「酉」という漢字が、「男根」を表すとしており、その説明から考えると、この「尊」という漢字は、強烈な男性を表したものと解釈される。この整合性をどう解釈すべきか、もう少し深い考察が必要とされるだろう。


漢字「尊」の字統の解釈
 酋と寸に従う。酋は酒器。上部に酒気のあることを示して八を加え下は寸または廾に従って、これを奉ずる形。神霊の前にこれを置いて祀ること。《説文》に酒気なり。酋に従う。廾はこれを持って奉ず。」としている。 


まとめ
 今回もまた、漢字は世の中の在り様を忠実に反映したものだということを立証することになってしまった。

 ともすれば漢字があからさまにする世界は実に残酷だ。しかしそれも現実であるし歴史である。我々は受け入れなければならない。その上に、本当の人間性の発露のある世界が来るものだと信じる。



「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。

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