漢字「師」の成り立ち:出陣に際し、祭肉を祖先の廟に祭って戦功を祈願した
軍の戦闘集団を師団といい、その指揮者を「師」というようになったのも、少なくとも10万人規模の国家でないと不可能である。この言葉が確立されたのは、周も末期になってからそれも春秋戦国時代に入ってからであろう。因みに春秋時代の総人口はせいぜい500万人前後だったろうという推察がなされている。
「師」の漢字データ
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
軍の戦闘集団を師団といい、その指揮者を「師」というようになったのも、少なくとも10万人規模の国家でないと不可能である。この言葉が確立されたのは、周も末期になってからそれも春秋戦国時代に入ってからであろう。因みに春秋時代の総人口はせいぜい500万人前後だったろうという推察がなされている。
漢字「師」の楷書で、常用漢字です。 昔から2500にんの師団を表すこと定着しているようだ。 あるいはこの漢字一字で、軍を表したり、いくさ(戦争)を表すようだ。 漢字「師」の左側は、甲骨文や金文では启で祭肉を表していた。ところが小篆では、神梯に変化している。なぜか。国家の規模が大きくなり、軍隊の規模も大きくなり、軍隊もさらなる神格化が必要になったと考えられる。したがって、今まで祭肉をシンボル的に使用していたが、もはやそれでは人々を引き付けられなくなり、神を持ち出したのではないだろうか。即物的な祭肉より、神梯からの神の降臨を演出ことで権威付けを強めたのではなかろうか。 | |
即・楷書 |
甲骨文字や金文の左側の記号は「祭肉」を表してた。ところが小篆では神梯を表すという。その変化は、軍の行動により神格化が求められた結果ではないだろうか。 | |||
師・甲骨文字 軍が出行するとき、戦功を祈って祈願する時の祭肉を表す |
師・金文 甲骨文字を引き継ぎ、軍の出行の際の祭肉を軍刀に突き刺し出陣すること |
師・小篆 金文を引き継ぐが、祭肉が神梯に変化し、より神に祈ることを明確にしたものか |
「師」の漢字データ
漢字の読み
意味
漢字「師」を持つ熟語 師団、恩師、師匠、軍師、師走
- 音読み シ
- 訓読み いくさ
意味
- 軍隊 二千五百人の軍の隊のことを言った 例:出師
- 人を教え導く人、先生 例 師匠
- 先生として尊敬する、手本とする (例:恩師)
漢字「師」を持つ熟語 師団、恩師、師匠、軍師、師走
引用:「汉字密码」(Page、唐汉著,学林出版社)
字統の解釈
启と帀に従う。启は軍の出行のとき携える祭肉の形で、師の初文。帀は把手のある曲刀の刃の部に小さな叉枝のあるもの。軍の出行するときは祖先の廟や軍社などに祭って、神佑を祈りその際肉を携えて出行するが、途中で軍を分遣して行動するときは、その際肉を分って出発させる。
启と帀に従う。启は軍の出行のとき携える祭肉の形で、師の初文。帀は把手のある曲刀の刃の部に小さな叉枝のあるもの。軍の出行するときは祖先の廟や軍社などに祭って、神佑を祈りその際肉を携えて出行するが、途中で軍を分遣して行動するときは、その際肉を分って出発させる。
漢字「師」の唐漢氏の解釈
遠くからやってきて、腰を下ろし、休憩することを表す。
遠くからやってきて、腰を下ろし、休憩することを表す。
「師」古代漢語P63 王力編、高等学校教材
- 軍隊で2500人で一師を構成する。一般に漠然と軍隊を指す。
- 知識を授ける技術人、先生。(弟子に相対する)
- 楽官 上古の楽師は一般的に盲目の人を任命していた。
まとめ
この「師」という漢字は国家の規模を表す指標になったのかも知れない。国家・軍隊の輝度を推し測るのに戦車の数が使われたという。
この「師」という漢字は国家の規模を表す指標になったのかも知れない。国家・軍隊の輝度を推し測るのに戦車の数が使われたという。
「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。
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