漢字の成り立ちと由来:誰が「厚」という漢字から「深」という意味を考えることができただろうか?
このところ厚労省職員による23名の深夜宴会問題で、国民の怒りが沸騰している。
もともと厚労省の前身は、厚生省という名前だったのだが、この名前は、「書経」の「正徳利用、厚生惟和(徳を正しくして用を利し、生を厚くしてこれ和す)」から厚生省と名付けられたということだ。
しかし、昨今の役人の振る舞いからいうと、この名前は「厚かましく生きる」という解釈がピッタリではないのかと思われてくる。
漢字「厚」の楷書で、常用漢字です。意味は、今では「厚さ」を表すものとされていますが、元々は、「深い」という意味で、元の字は「深」だったということです。 成り立ちまで遡らなければ、真実に迫れない! まさに青天の霹靂で、なんで?という気持ちを禁じ得ません。いったい昔の人は、どうしてこのような考えに至ったのでしょう。今から探ってみましょう。 | ||
厚・楷書 |
甲骨文字の「厚」 | 金文 | 小篆 |
このように、甲骨文字から金文そして小篆までの文字の変化を跡付けしてみると人間の認識の発展が良く分かる。
甲骨文字の「厂」(ガンダレという)の下部には高い建物の影がひっくり返っている様が見て取れる。
金文はその塔のような像が明確になり、小篆では、太陽の日差しの下で実像の子供という意味で、子という字に変化している。
「厚」の漢字データ
漢字の読み
意味
使い方
熟語 厚紙 肉厚 厚着 厚手 厚遇 厚情 温厚 重厚 濃厚
- 音読み コウ
- 訓読み あつ(い)
意味
- ぶあつい
- ゆたかにする。
- 心づかいがてあつい
使い方
- 「ぶあつい」 分厚い本、厚かましい(面の皮がぶ厚いからきたという)
- 「心づかい」・・手厚くもてなす
- 「ずっしりしている」・・軽々しくない。ちょっとのことで動かない
熟語 厚紙 肉厚 厚着 厚手 厚遇 厚情 温厚 重厚 濃厚
引用:「汉字密码」(P744、唐汉著,学林出版社)
漢字「厚」の漢字源の解釈
会意文字。「厚」の原字は、高の字を逆さにした形。それに厂(がけ、つち)を加えたものが「厚」の字。土が分厚くたまった崖を表す。上にできたのを「高」といい、下に分厚くたまったものを「厚」という。
会意文字。「厚」の原字は、高の字を逆さにした形。それに厂(がけ、つち)を加えたものが「厚」の字。土が分厚くたまった崖を表す。上にできたのを「高」といい、下に分厚くたまったものを「厚」という。
唐漢氏の解釈
「厚」の字の甲骨文字は、「高」の字を逆さまにしたもので、上に見れば「高』の意味であるが、これを逆さまに書いているということは、「厚」の字は元々深いという意味を表していたのだと主張する。確かに市の主張するように、がけや渓谷に行って土地の厚さ(深さ)が分かるという説も頷ける。
まとめ
「厂」の字の中に「高」を逆さまに書いて、これで「深」を表すとは、なんという発想の転換だろうか。このような逆転の発想ができる柔軟な思考方法を持っているとは驚きだ。実に素晴らしいと唸るより他はない。
「厂」の字の中に「高」を逆さまに書いて、これで「深」を表すとは、なんという発想の転換だろうか。このような逆転の発想ができる柔軟な思考方法を持っているとは驚きだ。実に素晴らしいと唸るより他はない。
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