既
漢字は作り出された過程が漢字の中に盛り込まれてそれを跡付けることは本当に面白い。例えばこの「既」という漢字である。食べ物を前にして、それにそっぽを向く人物から成り立っているが、実に面白く、ユーモアに満ち満ちている。このような面白さは、アルファベットなどの表音文字では決して見ることが出来ないものである。これこそが、漢字が数千年もの間、多数の民族の間で使われてきた理由の一つといえるのではないか。
引用:「汉字密码」(P662、唐汉著,学林出版社)
甲骨文字の「既」の字は、右側の高脚の食器(つまり豆)、先の尖った部分はそれが食物でいっぱいであることを示し、左側は食べ物に背を向けてひざまずいて、口を開けて頭を回して、満腹であることを示している人です。 金文の「既」の部分は少し歪んでいて、右側は顔を後ろに向けたままの半立ちの人で、口を開いているので、食べた後に離れることを示しています。小篆の「既」という言葉は訛りが発生しており、左側の食べ物と右側の口を開けた人は見えませんが、テキストの形はより美しくなっています。楷書は小篆を引き継ぎ、「既」と書きます。
「食」の原字を意味する「豆」 |
食べ物を山盛りにした器に背を向けて口を開く形で、食すること既に足り嫌気を催しているさま。食し終える意味からすべてことの終わること。
漢字源の解釈
会意兼形声文字:腹いっぱいになっておくびの出るさま。ご馳走を食べて腹いっぱいになること、限度まで言ってしまう意から[既にという意味を派生したとある。
結び
「既」の左側は元々高脚の食器を表しており、これに蓋をすると、「食」という字になる。こうしてみると漢字というものは、実に人々の生活から出来たものであることがよく分かる。
「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。 |
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