漢字「牙」の起源と由来:牡牛の牙、象の牙それとも豚の牙?
中国では、現在は歯のことを牙という。従って、歯科のことを、「牙科」という。ところ変われば品変わるとはこのことである。
さてこの「牙」は何の牙だろうか。説文によると「牡牛の牙」であるというが、殷代には江北には象が闊歩していたことから、この「牙」は象牙ではないかという説もある。わざわざ文字として残すことはこれが貴重品であったと考えられ、事実殷墟の墓からは精巧な饕餮文を施した盃が出土している。
さてこの「牙」は何の牙だろうか。説文によると「牡牛の牙」であるというが、殷代には江北には象が闊歩していたことから、この「牙」は象牙ではないかという説もある。わざわざ文字として残すことはこれが貴重品であったと考えられ、事実殷墟の墓からは精巧な饕餮文を施した盃が出土している。
引用:「汉字密码」(P421、唐汉著,学林出版社)
「牙ya2」は即ち歯のことである。金文の「牙」の字は上下交錯し、なおかつ突出した犬歯のように見える。人の犬歯は門歯と臼歯の間に位置し、尖った円錐状をなしている。俗に虎牙という。漢字は縦に長く横に狭い特徴に適応し、金文の第2款は将に縦置きになっている。小篆はこの関係から、金文と比較すると字の形は均整が取れているが、象形の意味は薄れている。
古人は牙をどのように使ったか
昔は、「牙」は象牙とその制作物を指す。牙尺、 牙板、牙管のごとく。昔売買する双方が利の中取りする人を「牙子、牙俭」などといった。即ち現代のブローカー、仲介人である。草木が萌え出ときの発芽を「芽」と書き、これはくさきの芽の形状が犬歯の形に同じことからくる。
字統82ページ
牙の上下に相交わる形に象る。説文に「牡歯なり」とし、脚注に壮歯の誤りという。 象は殷代には江北にも棲息しており、卜辞に「像を獲らんか」と卜する例がある。象牙は極めて貴重なものとされ、それに彫飾を施し、彩色した遺品がが多い。近年殷墟の婦侯墓から、饕餮文を加えた取っ手付きの精巧な精巧な象牙杯が出土している。
「漢字の起源と成り立ち 『甲骨文字の秘密』」のホームページに戻ります。
|
0 件のコメント:
コメントを投稿