クリスマスのことを中国語で「圣诞节」という。この「圣」という字はどこから来たのか?
導入
前書き
目次
**********************
漢字「聖&圣」の今
漢字「聖&圣」の解体新書
圣・甲骨文字 |
圣・小篆 |
圣・楷書 |
「聖&圣」の漢字データ
- 音読み コツ・コチ、セイ
- 訓読み ー
意味
- 土を祀る
- 聖の簡体字
- 古代の墾田の儀をつたえる字
同じ部首を持つ漢字 圣、「巠」の簡体字ではないことに注意という説もある(「巠」の簡体字は「经・轻」の旁で、片仮名「ス」「エ」を組み合わせた形のもの)
漢字「聖&圣」を持つ熟語 聖&圣、圣诞节、圣地亚哥(サンチャゴ)
**********************
漢字「聖&圣」成立ちと由来
引用:「字統」(P323、白川静著、平凡社)漢字「圣」の字統の解釈P323
会意: 土と又とに従う。土は土主。又は手の形。
土を祀る意で、開墾のとき地霊を祀ることをいう。 ト辞に「圣田」をトする例が多く、その字は土の上に収(きょう)、すなわち左右の手を加えている。土主を奉じ、地霊を祀る意である。
【説文】に「汝穎の閒 じよえい (河南中央部)、力を地に致すを謂ひて圣といふ」とし、その音を窟とする。ト辞以後の用例はみえず、 古代の墾田の儀礼を伝える字である。
漢字「聖&圣」の漢字源の解釈P313
会意文字; 「土+又(手)」。怪の構成要素となる。
現代中国で「聖」の簡体字に用いる。
漢字「圣」の古代の解釈
昔は、最も高貴な人格と最も優れた知恵を備えたいわゆる人々を聖者と呼んだ。
最も崇高であり、崇拝されるものの名誉称号、「神聖」。 聖なる。 聖地。 聖書。
封建時代の皇帝を讃えた言葉「陛下」。 勅令。
知識と技術において極めて高い功績を持つと言われる技能者。 グランドマスター。
漢字「聖&圣」の変遷の史観
文字学上の解釈
漢字の持つ機能を他の漢字から借りてくることを仮借というが、私にはこの二つの漢字には何の関係もなかったのではないかと感じられる。
しかしそれなりの理由があったことかも知れない。今のところ全く不明なので、これ以上の言質は差し控える。
まとめ
古代文字「圣」が3000年もの眠りから覚めてこの世に復活したのは、ほんの60~70年前のことであった。
字統で、「ト辞以後の用例はみえず、 古代の墾田の儀礼を伝える字である」と述べているように、久しく人々の目に触れることがなかったようである。
私は、その6,70年前には中国であったであろう「簡体字検討委員会」みたいなところでの議論を見てみたいものだ。
中国でも、日本でも多くの人々が『漢字不要論』を提唱したと聞く。前島密、福沢諭吉などその先鋒に立っていたようである。また、中国においても、魯迅、毛沢東などが漢字廃止と存続との間で揺れていたと聞く。これらを認識論の面からももっと明らかになればいいと思う。
「漢字考古学の道」のホームページに戻ります。
|
1 件のコメント:
聖の字には、元来、土のイメージや墾田のイメージがあるということは、農耕民族の根源を示しているようである。その精神性、呪術性と凄いパワーを漢字が秘めているのを知り、驚いている。
限りない想像、妄想が浮かぶ。
現在、土の若い研究家が活躍されていて、世界中の土壌を研究しておられるが、豊かな土壌の日本、ウクライナ、貧しい土壌のアフリカとの現状にも想像は限りなく、膨らんでいく。土は文化の根源ですね。 新鮮な驚きです。太郎花子
コメントを投稿