気ままな散歩

2018年3月18日日曜日

漢字「笛」の由来と成り立ち


漢字「笛」の起源と由来
 「笛」は竹で作られた単管楽器である。中国の起源は非常に古く、漢代以前には笛は2種類あった。雅笛は5つ穴、羌笛は3つ穴である。
 「笛」を英語に訳すると「Whistle」となるが、これに逆に日本語にすると「呼び子」という名称がぴったりであり、時代劇に出てくる追っ手が鳴らす「ピー、ピー」という短い笛を表している。この言葉は、やはり追っ手が、加勢を呼び寄せるという感じを受ける。ところで、この呼子を中国語に直すと、「哨子」というが、この「哨」という漢字は、歩哨の哨で、むしろ警笛という感じが強くなる。但しこれは筆者の独断で、根拠はない。 

引用:「汉字密码」(P814、唐汉著,学林出版社)


 「笛」は竹と由の音声からできている。由はもともと事物の発生の原因と経過を示し、また事物の拡散と生成過程を指し示す。文字の構成は素焼きの甕の硬い外と中の中空から来ている。

古代中国の「笛」


 直接吹いて今日の萧に非常によく似ている。今日の7つ穴の笛は古代の横吹きの笛から来ている。この種の横吹きは一個の吹き穴があり、6個の指穴を持っている。また吹き穴と指穴の間にもうひとつ穴を増やして、笛幕をかぶせた竹笛にしている。説文いわく「笛、7つの穴の竹の筒である。羌笛は3孔である。

羌笛は3穴と聞いていたが、ネットで調べると違っているようだ。古代の笛から現代の笛に進化したのかも知れないが、現代のものはもう少し複雑なようだ。



笛という器具が如何に使われたか
 笛の吹奏は穴を吹くことから初めて、音調は指穴の一つ一つつないで発出する。紛れもなく表現したあれこれの過程である。だから笛で以って自己の声符と表現である。
『羌笛何须怨杨柳 , 春风不度玉门关』(羌笛は何も楊柳を恨むことはあるまい、春風は玉門関を通り過ぎないのだから)。これは広く知られた辺境のとりでの詩で、羌笛の伸びやかで低く沈んだ描写がさびしさをよく表している。
 唐代の大詩人李白の《春夜洛城闻笛》の詩では、「谁家玉笛暗飞声 , 散入春风满洛城」の名句、笛の声の抑揚、清らかに響き渡る絵のような描写が鋭い。

 今日では笛は鋭い音を発し表現し伝えるものとして「汽笛や警笛」などのように用いられる。



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2018年3月13日火曜日

漢字「鼠」の由来:鼠のデッサンそのまま


漢字「鼠」の起源と由来
 2018年3月大変なことが日本の政治の上で起こっている。国の根幹を揺るがす一大疑獄になっている。「公文書」が改竄され、その改竄された文書を元に、国会で答弁がなされ、やらずともいい討議が一年間も行われたことになる。
 公文書の改竄という犯罪行為がなぜ行われたのか。
 私は結論を言うと、この近畿財務局の下級官僚が、本省・行政府にたて突いた、「窮鼠猫を咬む」 という行動の結果ではないかとすら思えてくる。
 もともとなぜ疑惑がすぐにでもわかる文書を残したのか。私には、自分の意に反する汚い仕事をやらされた官僚たちが、「この汚い仕事は決して自分の意志でやったのではないのですよ。いろいろの口利きがあり、忖度があり、圧力がありの中で処理せざるを得なかった。それならば、できるだけ克明にいろいろの圧力を残そうと、公文書に書く必要のない事項まで公文書に残した」というのが真相ではないかと思ってしまう。

引用:「汉字密码」(P92、唐汉著,学林出版社)


「鼠」の成り立ちと由来
「鼠」は俗称「老鼠」という。また「耗子」ともいう。今日常々見かけるそれほど多くない動物だ。この種の小動物は尾は長く、門歯は特に発達していて、大変強い適応能力を持っている。図に見えるごとく、甲骨文字の「鼠」は横から見た図形で、頭の上の小さな点は鼠が食べたものの食べかすを表している。また古文中の小の字とも見える。 明らかに鼠の特徴であろう。金文と小篆の鼠は突出して歯をむき出した鼠の頭を表している。
 げっ歯類動物の特徴は余すところなく一覧で表現されている。


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漢字「改竄(かいざん)の竄」の由来と成り立ち:原義はこそこそ逃げ回ること

漢字「竄‬」の起源と由来
 近頃、新聞紙上で、騒がれている「改竄(かいざん)」の「竄」について、考えてみよう。
引用:「汉字密码」(P93、唐汉著,学林出版社)

「竄」の由来と成り立ち
 [音読み]ザン [訓読み]のがれる かくれる
「竄」の字の漢字の成り立ちは、上部は洞穴の「穴」を表し、下部は「鼠」である。

 このことから「竄」の原義は、「鼠」がこそこそ逃げ惑うことである。後世になってようやく「鼠」の他の動物や人間の行為を一般的に指すようになった。

 



「竄」の使われ方
  •  「抱头鼠竄」は「ほうほうの体で逃げる。こそこそ逃げ失せる」とか、「流竄」(逃亡する、逃げ惑う)など等のごとくである。
  • 現在の使われ方の、「改竄」は「こそこそ隠れて改める、変更する」という意味だが、確かに「竄」の本来の意味はよく引き継がれている。

 因みに、ウィキペディアで「改竄」と引いてみると、

 改竄(かいざん)は、文書、記録等の全部又は一部が、故意もしくは過失により、本来なされるべきでない時期に、本来なされるべきでない形式、内容に変更されることをいう。悪意の有無を問わない。
となっており、文字の変遷が非常によくわかる。

簡体字化「竄」から「窜」への弊害
  繁体字の「竄」は画数も多く、簡体字化後の「窜」書きやすく覚えやすい。しかし、ここに簡体字化の弊害が現れているといえる。「鼠」を「串」とあらわすことで、「漢字は単なる記号ではなく、文字の持つ意味をも表現するという長所が失われてしまっているように思うのだが・・・」
 「鼠」という漢字は現在でもしっかりと使われているのに、「竄」の時になぜ「鼠」を「串」に変える必要があったのだろうか。


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