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2012年6月13日水曜日

梅雨は中国にはない?しかし雨の語彙は実に豊富


 沖縄は梅雨入り宣言が出そうな感じである。梅雨は日本特有の言葉?
 ただ梅雨(つゆ)という概念が中国にはないように思う。中国の気候というのは日本のそれに比べ男性的であるし、移り変わりももっとはっきりしている。
 「梅」そのものは古代から中国人に愛され、詩歌にも歌われてきたことは確かだ。しかし、雨と結びつかないように思う。

 ここでは、雨という漢字に焦点を当ててみたい。



雨は中国上古の文献にも頻繁に出現した

甲骨文字の雨はそのまんまという感じ
 雨は上古文献中最も頻繁に出現した文字の一つである。雨の字は甲骨文字中では、いろいろ書かれる。このいくつかの字を観察して見ると、単に雨が降るということだけではなく、雨の多い少ない、雨のリズム、雨が降るときのざあざあという音まで感じられる。

 雨の上の横棒は天である。あるものは天上の雲という。天から降ってくる雨の点、確かに根拠のあることである。金文中の雨の字は雨の点は袋に包まれている。両辺の雨の点と横棒一はお互い連なりあって『巾』になっている。 小篆中の雨の字は点と雲は分けて書かれるようになって、このように又横一ができた。字形は整えられたが、雨の趣は却ってなくなった。雨の本義は雨水を指す。

雨乞いは商代の王の重要な職責

 説によると、現存中の10万片の甲骨片の中で、その中で雨の卜字の占めるのは少なくとも数千条になる。かつて雨占いは商王の重要な職責の一つであったろう。卜字中、殷人は対雨に対して多い少ないの区別のみならず、微雨の分類に、『糸雨、少雨』の描写もあり、途切れ途切れの雨の日のぶれ、星の少ない雨の日の雨、多くのものの相談者曰く『大雨、多雨』、雨の勢いについて、集まったもの曰く『列雨、疾雨』、綿々と絶えることなく雨は『征雨、霖雨』、調和が取れている雨は『従雨』、雨が降り及ぶものは、「及雨」、雨量が農作物の要求に十分なものは『足雨』。

 中国には梅雨という概念はなかった

これだけ豊富な語彙があるならば、もし中国人の中に梅雨という概念があれば、言葉には必ず残っているであろう。少なくともここでは一応結論付けをしておこう。


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