2012年5月30日水曜日

日本の国名「倭」と「委」:漢字の起源と由来


以前に紹介した司馬遼太郎さんと陳舜臣さんの対談本「中国を考える」の中で、二人が「日本」と言う国名について語っている。そこに面白い話があったので触れてみたい。

聖徳太子が遣隋使に託した国書の波紋

 聖徳太子が中国の隋の国王に送った国書で「日出る国の天子が日没する国の天子に送る」という文言を聞いて隋の帝が烈火のごとく怒ったということが通説になっている。
 しかし隋の帝が生意気だと怒ったのは「日出る・・」ということではなく、「倭」として言ったから、失礼だと怒ったのではないかという説があり、司馬氏もそのように思うと言っている。中国の帝国の国名は秦、漢、隋などのように全て一字である。それなのに蕃国の日本が倭という一字で言ったので「失礼なやっちゃ」となったらしい。

国名「日本」の始まり

 それ以降日本は中国に配慮して「日本」と改めたということである。昔は中国の周辺の蕃国は2文字の国名で呼ばれるのが普通だったらしい。



漢の光武帝の金印

1784年福岡市で発見される。後漢の光武帝が下賜した
ものと考えられている。上段の中央が小篆の「委」の字
 さてそれ以前は魏志倭人伝の中で金印を魏の国王から賜っている。ここには「漢の委の奴の国王」と記されており、「倭」ではなく「委」という漢字が使われており、倭のほうが通りやすかったのだろうが・・。また「倭」であるか「委」であるかはそれほど重要なことではなかったらしいが、いずれにせよ「倭」が通称として、使われている。 


「委」と「倭」の起源と由来

  「委」は会意文字である。甲骨文字は「女」と「禾」の二つの象形文字の組み合わせである。左辺は「女」で、右辺は「禾」である。小篆の形は甲骨文字と同様であるが、字形の構造上「禾」の位置が上に来て、「女」が下に来ている。これは現在の楷書の構造と同じである。

穀物が成熟した時穀物の穂は枝葉の上に垂れさがるように湾曲する。この為「委」には曲がるという意味がある。男子と比較すると相対的に女子の体と気力は弱く、古人は禾偏を女に加えて、女性が相手の意思に従うことを表したものだ。委従、委順の言葉の中の委の字は委細、従順の意味である。
「委」は「矮」の中で使われ、小さいという意味を表す。「倭人」も小さい人という意味で、ある意味で蔑称だったかもしれない。

「委」の漢字あれこれ

  • 委の字は隷属、委託を表すのにも用いられる。
  • 捨て失くすの意味から、回避するの意味が出てくる。委過、委罪の様に過ちや罪を回避する。
  • 委の字は多くの読みと意味がある。Weiと読むときの他、委蛇は山の中の道や川が曲がりくねることを表している。

「漢字の起源と由来ホームページ」に戻ります。

1 件のコメント:

  1. 説文解字において、倭は曲がりくねり遠いという意味があり、矮とは、真逆の意味である。ついでに委にはまがる、なよなよという意味合いしかない。矮が小さいという意味合いを持つのは矢を含むからである。つまり、何が言いたいかと言うとあんた知識無さすぎ。

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